ニュージーランド物語・2

2017.10.04

イギリスからの植民者によって家畜がもたらされ、森林が伐採され牧場化が進んだ。牧草となる栄養価の高いものは勿論なかったので、本国からクローバーなどの種子が入れられた。しかしその多くが虫媒花植物である為、毎年種を持ってきて播種(はしゅ)しなければならなかった。その為、当時の著名な学者ダーウィンの提案で、セイヨウミツバチを本国から持ち込み、牧草の安定的な繁殖に成功したという経緯がある。これがニュージーランド養蜂のはじまりとなった。

弊社直営の養蜂場は、マヌカの自生林が群棲する山岳地帯で、牧場や果樹園などとは遠く離れ、それこそ人里離れたところに125エーカー(東京ドーム11個分)がある。敷地内には推定で100万本以上のマヌカ樹木の自然林があり、隣接する国有林もマヌカ樹木のメッカだ。この地域のマヌカ樹木は、インカナム(Incanum)という種類が圧倒的に多く、この種の花蜜はマヌカハニーの特有成分でメチルグリオキサール(MGO)の前駆体(生成する前の段階の物質)である、ジヒドロキシアセトンの含有量が非常に多く、MGO 含有率の高い活性度蜂蜜の採取が大きく期待できるのだ。
人っ子一人いない蜂場は本当に自然そのもので、風・鳥・ミツバチの羽音、そしてマヌカ樹木の木の精によって本当に癒される場所である。こうした環境で仕事ができることは実に嬉しく、製品へのご支持を頂ける顧客様への感謝であり、同時に良品の提供に益々意欲が湧いてくる。かといって私が蜜を採ってくるのではなくミツバチたちに依存するわけであるから、彼女(ミツバチは女系集団)らが、色んな意味において自由に活動できる為のサポートをしているに過ぎないのである。そして養蜂の本来の姿は、彼女等に任せた自然に充分接した自然体での採取であり、大規模養蜂になるほど飼育方法が人工的になり、自然からそむき離れることになる。ただ実に不能率で、採算面を考えると話にならない一面があるのも確かだが、そこで妥協したら普通の蜂飼いが採る蜜に過ぎなくなってしまう。

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