NZ流生活のススメ・3

2017.08.28

鰻

食べ物の話しもキリがない。大好きな鰻丼だが(浜松っ子だから)これを食べるにはまず溶接技術が必要となる。建築に使う鉄筋を手に入れ、鉄製の大型のモリ2本を自作しなければなりません。
こちらのウナギは普通のもので長さが1メートル、太さが寿司屋の湯飲ぐらい、大きいものではペットボトルからトイレットペーパー以上の太さにもなる。これをしとめるのだが、夜中に懐中電灯で磯を照らすと、ウナギは夜行性なので岩場のすぐ近くに来ている。まず一投目のモリ(三本モリ)を首に、もう一本を胴体に確実に打ち込む。これは二人で同時にやらないとまず逃がす。昔は息子を付き合わせたものだが、相当大きなヤツでも2本打ち込めば何とかなる。だが一本では暴れてしまいとても手に負えない。ウナギには恐ろしい程の力があり、直径10ミリの鉄筋を曲げてしまうほどだ。何とか麻袋(ウナギのヌメリ対策に最高)に取り込むまで、相当な時間がかかる。
こうして獲れたウナギを出刃包丁で背中から割り終え、幅8cm程の”横”に切り分ける。串に刺して焼き上がった一切れの大きさが、ちょうど日本のウナギ一匹分と同じ大きさとなる。つまり、日本のウナギは縦半分に割り、二切れにした一匹分が一人分。NZでは、横切りにしたものが一切れとなり、一匹で10人分以上は楽に取れる。
味は大味で旨くないだろうと誰もが想像するが、ウナギに関しては大きい方が旨いように思う。浜名湖や中国産の養殖物にはない天然の旨さがある。ウナギの時期は12月の暑い晴天が続いた日の夕暮れで、無風状態の夕凪時と満ち潮が重なる時がチャンスである。

当地のプロである先住民マウリ族は普通、川に網を仕掛けて捕獲している。店にはペットボトル大の下水管を輪切りにしたようなくん製物が出ているが、魚屋では滅多にない。キューイ(NZ人の愛称)とっては気持ちが悪いのか人気がなく、くん製物を鰻丼の素材にはどうやっても不可だ。だから前述した”まずモリ作りから”となるわけで、これは私の”専売”であり、鰻丼食べたさの苦肉の策なのだ。
そんなことで時間があるときは何でも自分で作ることにしている。とりわけこの国については、楽しみは自分で作り出すしかなく、日本のように他者から楽しみを与えてもらう事に期待をしたらがっかりすることばかりなのである。

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