薬剤耐性遺伝子と未来・2

(前回に続き薬剤耐性についてだが)特に抗生物質をはじめとした化学薬剤には、多くの人工抗菌剤が有る。その作用機序(作用メカニズム)は、人間が持っていない細菌のみが持つ特有な部分に毒性(選択毒性)を示すことによって、人体には概ね無害?ということで使われている。
例えば細菌の多くは、その細胞が細胞壁というもので囲われ、外部とのバリアを築いている。ところが人間の細胞にはこの細胞壁がないことから、選択的に毒性を細菌に与える。抗生物質の作用成分が、細胞壁を合成する最終段階の酵素に結合(細菌のもつペニシリン結合タンパク質)することによって、細胞壁の合成を阻害し、細菌をガードする壁が阻害され浸透圧に耐えられず溶菌してしまう。
その他、細菌の蛋白質合成組織であるリボゾームの酵素に作用して蛋白質合成を阻害したり(マクロライド系抗生剤など)、または細菌が増殖する上で遺伝情報を得るために自身のDNAを複製し新しい細胞を作り増える段階で、やはり酵素に作用してこれに必要なDNAのコピーが出来ないようにしてしまうDNA転写阻害薬(ニューキノロン系抗生剤⇒DNAジャイレースという酵素に作用)なども、それぞれ人体と構造が異なる組織を阻害することで選択毒性を示すなど、完全に化学合成または半合成による様々な薬剤があるようだ。
こうした多くの人工抗菌剤はいずれも人間にはない、またはあっても構造の違う部分を阻害することで選択毒性(菌だけに毒性を感受させる)を得ているため人畜無害とされている。しかし、果たしてそれは本当であろうか?

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