オーガニックなミミズコンポスト

2017.10.13

娘が趣味で色んなハーブを植えている。「バジル・オレガノ・コリアンダー・クミン・イタリアンパセリ・レモングラス・ ロケット(ルッコラ)・ミント」等々、興味のない私でもこのくらいの名は思い出す。私は食いしん坊なので、もっぱら日本から取り寄せた種がスタートで、ゴボウや近所の日本人の奥さんから分けてもらったミョウガなどを栽培している。
ミツバチはとりわけハーブの花が大好きで、ラベンダーなどにもよく蜜を採りに来る。今は藤の花が見事で、蜂もこれに群がっている。ミツバチ以外にも、全身毛だらけで愛嬌のある大型のマルハナバチが、ブンブンと大きな羽音を出してどこからかやってくる。この先の当地ニュージーランドは至る所に花が咲き、国中どこへ行ってもまるで公園のようになる。やはり、長く寒い雨続きの毎日が終わると、すべてが活動の時期を迎えて色めいてくるものだ。

拙宅に植えてある果樹や植木の葉が、春の陽気に揺れキラキラと若葉が輝き綺麗だ。ここは粘土質で排水も悪く、決して植物にとって良い土地とは言えない。前と後ろの牧場では羊を飼っている。これは草刈機の代わりで綺麗に草を食べてくれるからだ。その糞を集めてたい肥を作って庭にまくと植木が元気に育っている。
そして我が家では、野菜やハーブなどの肥料としてもっぱらミミズコンポストを使っている。前にも少し触れたことがあったと思うが、ミミズの排泄物は極めて栄養価があり、特に窒素成分が豊富で作物が良く育つ。拙宅には2基のミミズコンポスト容器があり、野菜クズなどを餌に育てている。1基は家内が購入したもの、これは樹脂製容器で4段式、もう1基は私が自作した木製の大きな箱型のもので、これは糞専用である。樹脂製のものは、小便が一番下の容器に貯まり蛇口から採取できるようになっている。ミミズというと、いかにも汚らしくて気持ちが悪いイメージだが、実際飼ってみると決してそうではない。ミミズが一杯いる容器のふたを開けても悪臭は全くしないばかりか、まるで森林に貯まった落ち葉のような匂いがして清々しい。

飼っていると、ミミズの食べ物が段々と分かってくる。何といっても甘いものが好きで、スイカやビート、マンゴーなどが大好き、次に芋類で炭水化物は糖になる。嫌いなものはネギ類・セロリ・パセリなど。甘い果物でもバナナの皮はやらない。これは収穫後に使う農薬が皮に残留しているのでリスクとなる。
時々、石灰や灰を入れて容器内が酸性にならないようにする。小便はコーラのような色で臭くなく、100倍に薄めて液肥として使う。水溶性の化学肥料などとは違って作物そのものが元気になり、化学肥料のように肥料切れすると枯れてしまったりするダメージはない。自作のミミズ箱の底にはステンレスの網が引いてあり、コンクリートで作った下床に落ちて溜まったものをスコップですくい取り堆肥に混ぜる。それをプランターなどの用土にするのだ。
露地ものではトマト栽培に使ったりもするが、本当に見事な大玉ができ、有機栽培の香りと美味さがある。これで育てたハーブ類の花には、とりわけミツバチたちが多くやってくるように思う。人間と違って本能的にオーガニックの安全性をよく知っているのだろう。ちなみに当地では、ミミズの小便を容器詰めして園芸店で売っている。

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