徹底した巣箱の消毒

しばらくぶりにミツバチの話になるが、この時期は気温低下と共にできるだけファミリーを減らしコンパクト集団としていかなければならない。群れを小さくするという意味だが、これはただ生息数を減らすという事ではなく、できるだけ元気の良いハチと次世代を担う健康な蛹を確保するという事で、これをしっかりやらないと次のシーズンに大きく影響してくる。来シーズンの収量の事はもう今からスタートすることになる。それにはこれからやって来る寒波に対し、できるだけスぺースを減らして巣箱内の保温をサポートするのかがカギとなり、無事に越冬ができるようにしないといけない。 

こうして群勢を減らしていくのに伴って空いた巣箱が沢山出てくる。シーズン中は流蜜量によって3段4段と箱を積み重ねてゆくが、この先はこの反対で巣箱の段数を減らしていくことになる。これらの巣箱は、内部に付着した蜜蝋・プロポリスをはじめ、多くの汚れをハイブツールと呼ばれるヘラ状の道具で丁寧に剥離し、その後塩素系の消毒液に漬け乾燥させた後、大型のガスバーナーで炎にかけて最終的な消毒をする。このバーナーはノズルから直径15cm、長さ1メートルほどの炎が吹き出し2000℃以上の高温になる。この火炎によってミツバチの疫病や天敵の巣虫の卵、それにカビなどを防止するので重要だ。バーナーで焼くときは巣箱を並べて高温で一気に焼く。弱火でやっていると巣箱に火がつきダメにしてしまう。この作業は結構危険なので、屋外でよく風向きを考えてやらないと火災や火傷のリスクがある。燃料はプロパンガスであるが、最高出力に達するとまるでジェットエンジンの燃焼音のような迫力ある轟音となり緊張する。こうして巣箱の表面は炭化状態となって清潔になり、これを倉庫に整頓し次期シーズンまで保管する。この他にも養蜂の仕事は細かな仕事が様々にあり、どれも重要で地味な仕事が多い。こうしたことの積み重ねによって高品位のマヌカハニーの収穫ができるようになる。

当地の養蜂家でここまで徹底してやっているという話は聞いたことがないが、あの時ああしておけばこんな事にはならなかったという後悔はできるだけ経験したくないという思いからだ。

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