ミツバチが刺すとき

2017.09.21

ミツバチの針

気団の関係で、温暖な南太平洋のからの風が吹き込む季節の日中は、20℃まで気温の上昇となる。これが逆に南風が吹き出すと、全く違った天気となり日没と同時に5℃に低下、明け方には霜が降りる。ミツバチは寒さに弱いので、この時とばかりに巣箱の点検を行うのだが、何せ低気圧が来ている為、雨の合い間の大急ぎの仕事となる。主に各巣箱のミツバチの活性状態を調べ食料の蜜が不足していないか、病気にかかっていないか、ダニがついていないか、巣内にカビが出ていないかなどと・・・ やることは一杯あるのだ。特に活性が弱い群れ程こうした問題が多く、天敵のダニや巣虫の有無を注意しなければならない。ダニは10年ほど前に外から入り込んだもので、元々はニュージーランドには存在しなかった。どこから来たのかは定かでないが、女王蜂を外国から輸入し、それに付いて来たという説が最も濃厚だ。
巣箱の底板に張ったアミの下に粘着紙を敷き、どの程度ダニがそこに落ちているかで汚染の程度を調べ、それによっては殺虫剤入りのリボンを吊るす。殺虫剤には天然由来の除虫菊の薬用成分が使われている。このダニは”ミツバチヘキイタダニ”と呼ばれ、ミツバチの体液を吸い取ってしまいミツバチが衰弱の末、死に至る。

昨日は雨が来そうだったので、少しミツバチの扱いが手荒となってしまった。こういう時は必ずどこかを刺される。慣れているとはいえども、やはり刺されればいつも痛く不快だ。 突き刺さった毒針はすぐに抜き取る。しかし、この時に下手に指で抜き取ってしまうと毒針を摘まむことになる。そうすると針が反ることにより、毒が注入されてしまう。その為、いつも携帯しているハイブツールと呼ばれる道具の先端をスライドさせて抜き取るのだ。ハイブツールは養蜂家の道具として必需品で、両先端がノミのように薄く鋭くなっている。これは巣箱が何段にも積み重ねてあり、それぞれの箱がプロポリスや蜂蝋(蜜蝋)で固まっている為、この道具を差し込んで分離させたり、巣内の巣枠を抜き取ったりする時に使う便利な道具だ。
ミツバチに刺されるという事は、殆どの場合、全て養蜂家が悪いからで刺されたら反省をしなければならない。ミツバチはスズメバチやアシナガバチと異なり、その毒針は刺す事により、臀部からもぎ取れてしまい死に至る。決死の攻撃であるから、余程危機感を感じなくては攻撃はしてこない。普段は温和で可愛い昆虫である。因みにこの毒針は、輸卵管が変化したものでオス蜂(Drone)にはない。この「ドローン」は、写真撮影などに使うヘリの名の由来ともなっている。

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