ニュージーランド物語・1

2017.10.03

毎回、養蜂場に行く道では眠気覚ましにいつものガソリンスタンドで給油し、濃いコーヒーを飲み出発だ。帰りもここを通過して無事家に戻ってこれることを願いながらである。途中、色々な景色を見ながら、今までの己の事をよく考えたりもする。当地でも養蜂ができることに満足で、なんといってもこの地には危険な動物類がいない事がラッキーである。長く暮らした南米は豹など危険な動物がいるが、もっとも今は相当奥地まで行かないと出合う事がない。昔はアマゾン河方面に行くと、路上で豹の原皮を板に貼り付け売っていた光景をよく見かけたものだ。今は絶対にこんなこと見ることは出来ないし、昔話になってしまった。
もちろん今でも怖く・・・ 何といっても南米の場合、一番のリスクは毒ヘビだ。これはちょっと郊外に行けばどこにでもいて、特にガラガラヘビが多い。その他、名も知らない様な珍しいヘビも多い。とにかくどんなヘビでも毒を持っていると思わねばならない。その中でも動きの遅いヘビが危ない。一番多いのはヘビを誤って踏むことでやられる事故だ。ガラガラヘビの様な出血性毒も怖いが、とりわけ危険なのは神経毒を持つヤツだ。これにやられると、視聴覚がやられたり、声が出せなくもなる。治療しても中々治らない。日本ではよく、子供の時から頭が三角のヘビは毒があると聞かされたが、南米では全く関係ない。形や大きさに関わらず猛毒蛇が一杯いる。現地人は、殺しても絶対死骸を放置しない。死んだヘビの毒牙を踏みつけると噛まれたのと同じ事になると言われ、死骸は木の枝とか牧場のフェンスなどにぶら下げておく。ワシ・タカなど肉食の猛禽類が持ち去るからだ。
 
ここニュージーランドは、この意味においては天国である。こうした心配は皆無であり、安心して自然と接することができるのは本当にありがたい。 
当地は、古代海底に沈んだジーランディア(Zealandia)と呼ばれる大陸の一部が隆起して出来たものと言われている。大昔 Zealandia 大陸は広範囲に存在したが、地殻変動によってそのほとんどが海面下に没したと考えられている。その後になって再度、その一部が隆起して現在の New Zealand が生まれたといわれている。従って古代からの動植物は全て海中に没し全滅、再度隆起した当地は全くの白紙状態であった。鳥類以外の交流が無かったのだし、哺乳類はコウモリのみ、ここに生息する大方の動物は全て人間が持ち込んだものである。オーストラリアでも養蜂に適する地は有るが、私はヘビなどの事を考えると No, Thank you! なのである。

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