総選挙にみる日和見菌

2017.10.23

昨夜はニュージーランドの総選挙の結果が出て、国全体が大騒ぎしている。それは予想外の結果が出たからだ。この10年近く保守党が政権をとってきたが、革新系にその座を明け渡すことになったのだ。
保守党である国民党は安定的な人気があるが、今回の選挙では過半数に至らず他党との連立を模索していた。小政党ニュージーランド・ファースト党の支持が必要だったのだが、結局この小政党が革新系と手を握った事により、保守の国民党は敗北し政権を失った。これは多くの予想を裏切ったことになる。保守党が政権をとる10年前までは政権は革新政党にあったが、ニュージーランド経済は深く落ち込み、それをこの10年で保守が何とか立て直すことに成功しつつあった矢先の事である。

工業政策を放棄し、基幹産業が農業であるニュージーランドは革新政党の労働党が政権に付くことにより、また10年前の不況がやってくるという失望感からニュージーランドドルが大きく売られている。確かに労働党が政権を握っていた10年以上前は、どこの郊外へ行っても牧場や農園にSALEの看板が立ち並び、この国の荒廃が誰の目にも感じ取れた。
今回の選挙では保守の国民党58議席に対し、労働党45議席・緑の党7議席を合わせて革新系が52議席で、小政党NZファースト党9議席だった。この選挙結果は、中道派のたった9議席しか取れなかったNZファースト党がどちらに付くかで決まる。多くの見方では、今後も保守の国民党が政権を握るだろうと予測していたのが逆転した。保守政権になってからの当国は、手厚い農業政策を中心にインフラ整備が順調に進み、やっとこれからの躍進が期待できていたのに、これでまた ”元の木阿弥” と化す可能性が出てきた。政治の世界はよく分からないが、デモクラシーなどといっても結局は国民からの支持が弱かった政党でも連立の名の下に集まると政権を取ってしまうことがある、といった良い例が今回の総選挙だった。

この事は、人間で言うと腸内フローラ(腸内の微生物生態系)によく似ている。 腸内細菌は所謂、善玉菌と悪玉菌に分かれ、そしてそのどちらでもない日和見菌がいる。日和見菌は善玉菌が旺盛な時は善玉菌と一緒に良いことをする。一方、悪玉菌が強いと悪い事をする。そうやってどちらか強い方に付く。要するに、読んで字のごとく日和見なのだ。
マヌカハニーやプロポリス抽出液は善玉菌の増殖を司るわけだが、結局、人間の健康は腸内細菌叢の健全化が非常に重要で、要は日和見菌を如何に善玉菌の味方にさせるかがキーポイントとなる。一般に健康な人の腸内には、総数で約100兆個(人体の総細胞は60兆と言われるのでそれより遥かに多い)、その菌種は300~500種、その重量は2kgにも達すると言われている。健康状態が良好な時は、これらの腸内細菌がバランスよく住みつき、また排泄物重量の3分の1は細菌との事。この中には色々な性質の菌がいてそれぞれ共存し、人の健康はこうした細菌類の助けによって複雑な化学変化を経て食べ物が分解・吸収されている。従って健康とは、これらの様々な菌類によって成り立っていると言っても過言ではなく、人体の免疫機構の実に60~70%(ちょっと前は30%程度と考えられていたが)が腸管に集結し、健康を維持する上で最も重要な器官の一つなのだ。

日本の選挙もそろそろ結果が出ると思うが、日和見菌の取り込みに失敗したニュージーランド政局のこれからがどうなるのか大きな問題である。

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