春の兆しとミツバチの心配事

蜂の巣箱

ニュージーランドは地理的に緯度が高いこともあってか季節の移ろいを早く感じ、この処随分と日差しが明るくなってきたように思う。ゆっくりと柳が芽吹き春風が何となく吹き始め、春の兆しとなってきた。まだまだミツバチの活性は弱いが少しずつ元気が出てきたようだ。この先は気温が急上昇して一斉に花が咲き出すので、その環境に適した巣箱の状態を作ってやらないとならない。
花蜜の増加により女王蜂は急速に産卵数を増やし、加速度的に大家族へと勢力を増してゆくので、巣箱内のスペースを十分に増設してやらねばならない。窮屈な巣箱環境では分蜂(巣別れ)のリスクがあり、養蜂家にとって分蜂は大きな痛手となるからだ。
巣箱内で新女王が生まれると旧女王は配下の半数と貯蜜の半分を持ち去りどこかに飛び去ってしまうので、残された新女王と半数の配下は新たなファミリーを形成しなければならず、場合によっては自然環境の厳しさに負けてしまう事もよくある。これからはこうした分蜂の時期が近くなるので頻繁に巣箱の内検が必要となり、活性力の高い群れはスペースを増やすため単箱から縦箱を重ね2階としての環境を作り、新女王が生まれないようにスペースを作り分蜂を防止しなければならない。またその兆候となる王台(女王蜂専用の巣房)を見つけたら即除去していかなければならない。しかしそうかといってこの作業の実行には時期尚早の場合、特に急激な気温の低下などによって蜂群にダメージを与えてしまうこと、またその逆に分蜂のリスクなどをケースバイケースで柔軟に考えておかないと大きな損失となる。
越冬を無事に乗り越えてくれたミツバチであるからこそ、親身になって彼女(ミツバチは女系集団)等の声に耳を傾け、マヌカハニー採取となる花蜜分泌に向けて自然との駆け引きがもう始まっている。

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