ブラジルという国

前回は、気候によって国民性が異なってくることに少し触れたが、そういえば昔ブラジル人の友達が言っていたジョークを思い出した。
彼曰く「神イエスキリストはこの地球上で実に平等に人間を分配したものだ」と。その理由として、ブラジルは申し分ない気候に恵まれ台風や地震などの天災はゼロ、海岸線は長く海産物に恵まれ、内陸には肥沃で広大な土地が日本の24倍もある。またその下には天然資源が限りなく埋まっている。他国から見れば実に羨ましい限りだが、その恵まれた大地に住むブラジル人は怠け者で頭が悪い。だから神がおやりになったことは正確で公平なのだ・・・このジョークを昼間から営業する街角の立ち飲み屋で「カシッヤッサ」と呼ばれる火酒(サトウキビから採れるラム酒)を飲みながらポルトガル語で話すと実に面白く、妙に納得するのである。彼らブラジル人自身がこうして自国を揶揄した話をすること自体(遠い昔、学生時代の私が現地を訪ね卒業と同時に単身永住した帰結は)案外こうしたブラジル人の気質に影響されたのかもしれない。

その後、ブラジルでの生活は実に様々なことがあった。昔、リオデジャネイロとサンパウロの中間に位置した南回帰線上にあるアングラ・ドス・レイスという小さな町があった。そこの漁港から出る釣り船に家族全員で乗り込み、1泊2日の釣り三昧ツアーに参加した。その中にブラジル在住50年、初老の日系おじさんがいて、釣りをしながら色々な話を私たち家族にしてくれた。今でも印象に残っているのが「私は移住して50年になるが、この間一度たりともこの国が良くなったという覚えは全くない。」という話だ。
その後、私がニュージーランドに移住するまで更に20年以上の歳月が流れたが、その初老のおじさんと全く同じことを今度は私の口から(日本より遊びに来た)甥や姪に話しているのには我ながら驚きを感じずにはいられなかった。それが結論的には、当地ニュージーランドでマヌカハニーの権威ピーター・モーラン博士と出会うことで、今度はその生産をするきっかけとなったのだが。

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