ブラジルという国・3

(前回のつづき)これと非常に良く似た話で私の部下の場合、彼の妻は三度離婚をし、四度目にこの部下と結婚して一児を設けた。過去三度の結婚で3人の子を得、部下の子どもを出産して合計4人、どれも全てオヤジが異なるのだ。カトリックの社会は堕胎を禁じたり、離婚もダメと様々な点でプロテスタントより厳しい戒律がある。白けた言い方となるが、物には何でも裏があり社会生活が営まれている。特に南米の場合はそんなことどうでもよいのであり、恋愛ご法度の神父でも発覚して問題化する。一般市民は厳しい宗教上の問題などそれはそれでひとまず教会にお預けして、現実と向き合う事が大切なのだ。考えてみれば非常ないい加減さがまかりと通っていて実に面白い。
私はそのラテンアメリカのいい加減で人間臭いところが好きである。だからブラジル人の社会に入っていき、自然と言語や習慣を身に付けることができたようだ。

さてその部下の事だが、ある日どうしても参加しなければならないミーティングがあるのでと半日休暇を私に申し込んできた。何でも知り合い3人で食事をするとの事だった。どうやら自分の妻の元夫3人と自分と合計4人で会合を開き、今後の方針を決めるための意見交換をするようだった。というのも議題として、部下の妻は昔から金使いが荒く、養育費をちゃんと子供達の為に有効に使っているのか? その改善策として、一度に渡すとすぐに使ってしまうから元夫3人の毎月の養育費を二分割払いにする案を、今の夫である私の部下に了承してもらう事が目的らしい。結局実に和気藹藹(わきあいあい)で、妻の悪口や良い所、それぞれの子供の事などを中心に部下も含めて有用なミーティングとなったらしい。
私は正確な内容の把握はできず、またそんな暇もなかったが、ここで感心したのは物事を善処するためにはプライドなどは関係なく、それぞれが素直になるという事だと教えられたものだった。こんな話はラテンアメリカならではで、日本では考えられない事だ。ある面で、ミツバチ社会の長い歴史において種族維持のための営みと非常に良く似ていると思っている。やはり歴史あるカトリックの方がプロテスタントより奥深いものがあるように思える。

もう早い地域はマヌカの開花が始まっているようだ。暖冬もあって何とか無事越冬ができ、今季のマヌカハニーの質と収量には期待をしている。

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