悪質な巣箱の盗難

最近は養蜂業界での盗難が多い。昔はこんなことは聞いたことがなく、まずなかった。主な原因は、当地ニュージーランドでも麻薬・覚せい剤が蔓延していて、少しでも金になるものであればすぐに犯罪へと手を染める。こうしたドラック欲しさによる事件が急増しているが、麻薬に比べて覚せい剤の低品位品や合成麻薬が比較的安価に手に入るのも犯罪との大きな関係があるだろう。中国ではこうした犯罪は即死刑になると聞いているが、当地は死刑がないのも関連しているように見られる。こうしたドラックの常習が人の理性を超えて犯罪に結びつくわけだ。
マヌカハニーが国際的に人気を呼ぶ中で、ミツバチの1群に対する価格も高騰している。1群の巣箱一箱が600ドル(約45,000円)で取引されているのだから、田舎においては金目のものとなる。窃盗の頻度が多く、警察でも道路輸送中の貨物検査を厳しくしているようだ。実際に私のところも検問所で複数回引っかかったことがある。 その都度、警察の指導としてGPS(全地球測位システム)の巣箱への設置を推奨している。GPSの取り付けはこうした指導の前よりすでに盗難の兆候があったので、私のところでは全ての蜂場で実施済みだ。人工衛星とインターネットを駆使して特定の巣箱の現在地が世界中どこからもパソコン上で確認でき、少しでも移動したら警告が発せられ、盗難経路をリアルタイムで報告してくれる。これによって最近大掛かりな盗難グループが全員逮捕された経緯がある。
マヌカハニーが高値で売れる為、収穫が近づくと巣箱もろともの盗難事件がよく報道されている。中にはGPSが取り付けられていることを承知の上で、蜜の貯まったフレームだけを狙う性質の悪い泥棒もいるくらいだ。そんなことで養蜂は今やミツバチ相手だけの仕事ではなくなってきている。

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