女王蜂誕生・2

2017.11.15

昨日に続いて群れを増やす為の女王蜂作りの話だが、これには色々な意見やアイデアがあって特に定められたものがない。
女王蜂と働き蜂の違いは、ローヤルゼリーを与えられたか否かで決定する。例えば移虫の際、用意したローヤルゼリーや内勤蜂に人工餌を与える方法もあるが、私はこれはあえて行わない。人間の赤ん坊もそうだが、成長段階において与えるミルクの濃度や成分が異なってくるのと同じで、出来るだけ人の手は差し出さず、内役蜂(子育て蜂)による世話に任せる方法をとっている。そのほかにも移虫後に添えるフレームは、他の群れから持ってきて専用の巣箱を用意して育てることもしない。
このように人間がこうしたらもっと良いだろうという考えが、必ずしもミツバチの生態と一致しないからだ。やはりミツバチの事はミツバチに任せた自然さが、基本的に重要だと思っている。下手な手出しは育児をする内役蜂のストレスとなり、丈夫で性能が良い女王蜂を得ることができないように思うのだ。だから女王蜂を育てるには、内勤蜂が今まで生活していたところを利用することにしている。
いろいろやってみたがこれが一番成功率が高いように思える。画像は産卵から16日目に生まれてきた女王蜂であるが、巣房をかみ切って出てきたもので、これをクイーンケージと呼ばれる四角い籠の中に内役蜂10匹程と共に入れる。そして内勤蜂を5000匹・サナギ・蜜が付いたフレームからなる小型巣箱を用意して、フレーム間にクイーンケージを固定する。しばらくすると、クイーンケージ内の砂糖(キャンディー)でふさがれた出口を破って色んな群れから集まった雄蜂の待つ上空へ飛び立ち、複数の雄蜂と交尾をして精子をため込んで帰巣し産卵を始める。複数の雄蜂との交尾は、遺伝的に多様性を得るためである。交尾飛行中に鳥などに食われてしまったりで帰って来ない女王蜂もいるので、交尾後の女王蜂を得ることによってやっと1群れが成り立つことになる。
女王蜂はその後順調に産卵をすることになるが、商業寿命は2年程で更新が必要となる。

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