野鳥のファンテイル
2017.10.09
私のところの裏庭に接するマヌカの自生林もそうだが、ニュージーランドのどの林に行っても非常に高い頻度で出くわす、とても人懐こい野鳥がいる。ファンテイル(Fantail/和名:オウギビタキ)と呼ばれる鳥で、メジロ程の小さな鳥だが尾羽が体長に比べ非常に長く、何枚もまるで扇風機のような羽(Fan)が垂直についている。この尾羽を使って蝶のようにひらひらと舞う事が出来る。急カーブや急旋回なども意のままに飛べる。
マヌカ蜜源の花蜜データの収集に、蛮刀(ばんとう)片手に林の中をガサガサと入ってゆくと、必ずと言ってもよい程どこからともなく現れるのがこの鳥である。野生動物は人が近づくと警戒し逃げ隠れするものだが、この鳥は全くそんなこともなく、すぐ近くにきては愛嬌を振りまくように色んな飛び方を披露してピッピとさえずり、居なくなったと思ったら直ぐ近くの小枝に止まり、またすぐに2メートル以内を飛び回る。
最初にこの鳥を見たときは、何と愛嬌のある変わった鳥だろうと思った。その後に分かったことだが、Fantail は小蠅(コバエ)などの小さな昆虫を好んで食べ、密林に人が入ってゆくと昆虫類が驚いて逃げるのを待ち構えて捕食する習性があるようだ。だから逃げるどころか、どこまでも人の前後についてくるのだ。この事が分からなかったので人懐こい鳥だと思っていた。林の中でこいつに出会うとつい親しみを感じてしまうが、これは勘違いによることで、本当は餌を得るために利用されているのである。
人生においても案外とこうした勘違いは多いかもしれない。でも勘違いをすることで気持ちが豊かになれば、それはそれで結構なことである。