干しタラを作る(後編)

皆様、新年明けましておめでとうございます。本年もTCNならびにTCNニュージーランド事業所をどうぞよろしくお願い申し上げます。

新年一作目は前回のタラの話。タラを捌く際に使うまな板だが、枯れてしまった庭のヒノキの大木を切り倒しその芯材を利用して自作する。合成樹脂のまな板は便利だが私はこれが嫌だ、やはり天然の板にはかなわない。野菜でも肉でも切る感触が全く違うし清潔だ。一見、樹脂製のほうが清潔に感じるが、細胞一つ一つから出来た自然の物の方が優る。調理を終えて熱湯を掛けた瞬間に木の香りが漂い、天然その物が持つ抗菌作用があるように感じる。使い込むと包丁の傷が板面につくがこれはカンナで削ればよい。樹脂製はこれが出来ないし包丁傷に雑菌が繁殖する。しかしこのところの異常気象で、ニュージーランドでも温暖化が進みスギやヒノキのような針葉樹が急に枯れ始めているから心配だ。

話を戻し、まるまると太った魚体をまな板に乗せて開き、岩塩を惜しみなく振り掛けて一昼夜冷蔵庫で寝かせて水分を取り、翌朝風通しがよく日当たりがよい場所へと吊るす。魚体から出た水分を発酵させればナンプラー(魚醤)を作ることが出来るが、自家製が沢山あるので捨てる。何日か干せば味も濃厚になり発酵してくるので旨いが、今回は蜂場で取ってきた野蒜を食べたくて冷蔵庫のありあわせの野菜でつくることにした。ジャガイモ・ニンジン・ニンニクはすぐ火が通るように薄切りにして最初に炒め、そこに玉ねぎ・ショウガを加える。玉ねぎ・ニンニクはアミノ酸の塊のような野菜だから、一緒に炒めてジャガイモ・ニンジンに味を移す。できるだけ強火がよく、私は巣箱の消毒に使う業務用の大型ガスバーナーを使って安全な屋外で威勢よくあぶるようにして炒める。強烈な火力なのですぐ出来上がり、間髪を入れず塩出ししたタラの身・野蒜・マッシュルーム・ズッキーニを放り込み、最後に庭の西洋みつばを入れてあっという間に出来上がりだ。使うオイルはナタネ油とオリーブオイルで味付けはコショウのみ、塩味はタラから出るので塩加減が少し難しいかもといった、実に簡単ですぐにできる料理だ。これはブラジル式の干し肉の野菜ソテーと作り方がよく似ている。ライスは洗った生米を水切りして鍋に入れてみじん切りした玉ネギ・ニンニクを加えオイルでよく炒め、そこに岩塩と熱湯を入れて炊いたピラフによく似たご飯でこれが実に相性が良くこの料理をうまく食べることが出来る。

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