雨続きとミツバチ

ニホンミツバチ

いよいよ本格的な冬がはじまり、毎日が寒く、しかも雨続きである。ニュージーランドのこの時期はミツバチにとっても本当に苦手な天候と言える。何といっても彼女等(ミツバチは女系集団)は湿気と温度低下が一番苦手で、そのうえ外に出ることでさえも叶わず、花蜜や花粉を取りに行くこともままならないのである。しかし当地の雨季は日本の梅雨とは多少異なり、一日中雨がしとしとと降り続くといったことはあまりない。1時間ごとに降ったりやんだりを繰り返す。振り出すと結構な勢いで風を伴い激しく降るが、雨雲が通過すると嘘のように日が差し晴天となり、この繰り返しである。この間隙を見計らってミツバチたちは巣箱から飛び出し、雨が降ってくると一斉に帰巣してくる。中には短時間で両足に花粉を詰め込んで帰ってくる者もいる。どこに花など咲いているのか、本当に見上げたものなのだ。
このようにしてわずかな間隙をぬって蜜や花粉を持ってくる。短時間での仕事なのでどこか近くに雑草などの花があるのだろう。この時期は蜜源が乏しいので、おのずと女王蜂は産卵を控える。食料が無ければ子孫を増やしても生活できないからだ。かといって全く産卵しないということではなく、来春の開花に活躍する世代の産卵と内勤蜂の子育ては重要な仕事である。子育てには35℃程の温度環境が必要となる。ミツバチたちは貯蜜してある蜜を食べることによってエネルギーを得て、飛行目的とは違った羽を震わすことで筋肉を動かして温度を発散させる。貯蜜は食料としてもちろん必要であるが、もう一つの重要な事として、子育て環境を作ることも大きなウェイトを占めている。これらのエネルギー源は、貯蜜を食べることによりグリコースを熱源に交換している。
日本には、ニホンミツバチ(画像参照)と呼ばれる固有種がいる。当地には居ないが、この種のミツバチは40℃の熱を発散させることが出来る。これは外敵のスズメバチなどが巣箱に侵入してくると、ニホンミツバチが大勢で襲い掛かって敵を囲い込み、高熱でスズメバチを焼き殺してしまうという保身の術を遺伝的に持ち備えている。西洋ミツバチはそこまでの温度を発散させることはできない。採取してきた花蜜の水分を熱風をもって取り除くことと子育てに使う、という大きな2つの目的があるのだ。

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