ハチミツの糖度と発酵

ミツバチ

前回は発酵食品などについて話をした。ハチミツは糖度が80%に達したものは半永久的に変化しないが、少しでも水分が加わると微生物によって発酵してくる。ミツバチたちが蜜を貯める理由は、花蜜が無くなる冬季の越冬用に食料として生命維持に必要だからだ。冬場に花蜜が無いときは貯蔵蜜をエネルギー源として利用するが、その糖分濃度が低いと上記のように発酵し、つまり酵母菌などが餌として蜜を食べその結果発酵してしまう。こうなると蜜中の糖分が無くなってしまいミツバチたちが食料として利用できなくなってしまう。
当初採蜜したばかりの蜜には水分が多くこのままでは貯蔵ができないので、ミツバチの体温と羽風で水分を飛ばし80%以上の糖度に達したものから順にミツバチの胸腺から分泌する Wax で蜜蓋をして貯蔵する。この糖度になれば貯蔵しても問題がないことをミツバチは遺伝的に知っているからだ。一説によると、古代ローマ時代の神殿から見つかったハチミツは殆ど変化していなかったという話がある。
こうして流蜜期シーズンにミツバチによって採取された花蜜は、巣箱にいる内勤蜂の唾液腺から分泌される酵素によって二糖類からブドウ糖と果糖に分解され単糖類となる。単糖類は体内で直接吸収されるが二糖類は単糖に分解されないと吸収できず、それには多量のカルシウムとエネルギー、それにビタミンB1が必要となる。一説によれば二糖類である砂糖でコーヒーなどに利用する角砂糖1個をヒトの体内で分解するには、牛乳瓶10本分以上に含まれるカルシウムが必要とのことだ。そして砂糖は分解するために時間がかかり、一旦分解されると無制限に吸収されてしまうがハチミツの場合、初期の吸収速度は非常に速いものの、ある程度血中に取り込まれるとそれ以上の吸収はされないとされている。よく病院でブドウ糖の点滴などを受け直接血管に入れられる。これは単糖類であるがゆえにそれができるのであって、即エネルギーとして消費されるので砂糖のように体内に蓄積されることは少ない。したがって短時間での疲労回復に役立つことになる。

弊社顧客様でも糖尿病についてよくご質問をいただく。ハチミツも糖分からなるのでもちろん影響はあるが砂糖のようなことはなく、医師の指導によっては糖尿病患者も利用が可能となる。当地ニュージーランドでは女性たちのダイエットなどにも砂糖の代わりに利用されている。

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