ミツバチへの愛情は道具作りから

鉄帯

前回も話したように雨続きでミツバチたちともご無沙汰であるが、そうかといってむやみに巣箱を開けての内検はミツバチにとっては迷惑な話である。ほったらかしにもできないし、心配なので雨が止んだ短時間に気になる群れを中心に内部を見て廻り、群勢の状態を素早くチェックし、できるだけ巣箱内の温度を保ち湿気を入れないように気を使う。そして、どの巣箱にも強く鉄帯(画像)で締め付けて巣箱内の密封に努める。巣箱に隙間があると内部の温度が下がるからだ。この作業は要領よく短時間で終わらせねばならない。

鉄帯で強く締め上げるので、なかには錆が出ている箇所から切断されてしまい、そのためいつも余分に鉄帯を用意していくこととなる。こうして切断された鉄帯は倉庫に沢山あるので時間の許す時に修理をする。切断された部分をつなげるのだが、帯を二重にして電動ドリルで2箇所に穴をあけて貫通させ、そこに2本リベートを打ち込んで繋げることになる。この仕事も結構面倒で時間もかかるため、他にもっと早くて良い方法がないか考えた。私のところには大抵の道具類は整っているし溶接機もある。しかし薄い鉄帯をアーク溶接機でつなげるのは至難の業で、一瞬で帯が溶けてしまいこれは電気溶接のプロでも無理だ。そこでスポット溶接機*があれば、極めて短時間で修理できるので良い。しかしスポット溶接機など自動車メーカーなどで使われている本格的なものは一台何百万もするし、簡単なものでも何十万円と高価である。
*スポット溶接機→2枚の母材(被溶接材料)を電極棒で加圧しつつ電流を流し、その接触面に発生する電気抵抗熱により母材内部で金属が溶解凝固を起して溶接する。
無いものは自分で作ってしまえというのが父から授かったDNAだ。早速準備開始となる。ラッキーなことに家には2台の壊れた電子レンジがあったのでこの部品を利用して作ることにした。電子レンジはマイクロ波を発生させて分子振動を発生させ、マイクロ波による加熱を利用した器具である。マイクロ波発生装置には3000ボルトの高電圧を作るトランスが必要である。故障したレンジはマイクロ波発生装置マグネトロンがダメージを受けることが多く、トランスが焼けるようなことはめったにない。案の定、2台の故障したレンジのトランスは健全であった。(続く)

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