道具作りから~自作のスポット溶接機

(前回に続き)自作のスポット溶接機だが、利用するトランスは高電圧を作り出す2次側コイルを取り出し、この部分にスポット溶接として使うための低電圧大電流用コイルを作って置き換えなければならない。当初は2次コイルその物を鋸やアングルグラインダーで切断し鉄心は切り取らずにと思ったが、密にコイルが巻いてあるので抜き取るのにはドリルなどで穴を開け間隙を作らないと叩いただけでは簡単に抜き取れない。結構苦労したので、結局2個共トランス本体の鉄心を鉄ノコで切断し、2次コイルを抜き取る作業で簡単に進めることが出来た。出力側の2次コイルは大電流用のケーブルを買ってきて、抜き取った高圧コイルがあった部分に数回巻きつける予定でいた。しかし細い導線を撚り合わせた芯線のケーブルは柔軟性があってよいのだが、太さに比べて芯線が細く太いものは値段が高い。できるだけ大電流を安定供給するため、銅線そのものを使った方が良いと思い、直径6.4mmの銅線を被覆して使うことにした。
2メートルの銅線が25ドル(1700円位)で売っていたので1本手に入れ、このままでは硬いのでガスバーナーで良く焼いて簡単に曲げられるまで軟化させた。絶縁のためエナメル塗料を二度塗って乾燥、さらにその上からテープを巻いて絶縁を二重にした。これを2次コイルとして2個のトランスの鉄心に直列に巻きたいのだが、直接まくと絶縁テープに傷がつく恐れがある。鉄心と同じ大きさの木型を作ってこれを万力で固定して巻いてゆくことになった。直径6.4mmの銅の棒に近い代物なので軟化させても中々思うように巻けず、ゴムハンマーで叩きながら何とか巻きつけ2台のトランスにそれぞれ3回と2回半巻くのが精一杯であった。
こうして作った2組の直列コイルを木型から外して各々のトランスにはめ込んだのだが、鉄心の角が鋭くてここに接触すると絶縁物が傷つき取れることも考え、アングルグラインダーで角を削って丸くしたら何とかうまく収まった。さて、これで一応ちゃんと作動するかのテストをしないといけない。まだ切断した鉄心の溶接をしなければならないが、まずは動作テストをしてからだ。鉄心は切ったままであったのでその上に重しとして金床を乗せて通電することにした。勿論、導通試験と絶縁状態をテスターで確認してからだ。こちらは日本の100ボルトと異なり240ボルトなので感電に用心しないと危険だ。念入りにチェックをし1次側コイルを並列につないで、直列の2次側コイルの電圧を確認しようというわけである。恐る恐る電源スイッチを入れた途端に「バシャーン」というとんでもないほどの大きな音がした。(続く)

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