手作りビネガー

2019.11.05

毎日寒いし雨続きで気持ちが滅入ってしまう。でも時折、雨雲の切れ目から漏れ出す光線は間違いなく春の光で明るさがある。柳や藤の新芽が少しずつ大きくなってきた。冬場に強選定しておいたブドウの芽も膨らみ始めた。ミツバチたちはわずかな晴れ間に巣箱から勢いよく飛び出して行く姿を見ると確実に春の兆しを感じる。
去年はブドウが沢山なった。一本から一輪車に何杯も取れ食べおおせないので蜂蜜の手動式遠心分離器のステンレスタンクに入れておいて忘れていた。開けてみたらうまいワインが出来ていた。ただ房などは面倒で除去しなかったから渋みが強いが濃厚な味と香りだ。このまま放っておけば時間とともに少しずつ酸度が上がってきて醸造酢が出来上がる。酒を造るのは政府の許可が必要になる。世界中どこに行っても酒には高額な酒税をかける。政府にとってこんな都合の良い財源は無いからだ。法律違反をしてまで酒など造るほど酒好きではないので、今回はワインビネガーを作ろうと思っている。
タンクに50L強あるのでここからサンプル用に4Lほど小分けし、残りは布を覆ってしっかりひもをかけて寝かせた。温かくなるとショウジョウバエが集まってくるからだ。小分けした4Lはガラスの容器で熟成を待つことにした(写真左の器)。こうしておけばサンプルの状態から、倉庫のタンクの中を頻繁に覗かなくてよいからだ。
私はカレーが好きで自分でルーを作ってよく食べるが、思いっきり香辛料を使った刺激の強いカレーが好きだ。最近はこれを食うと何だか知れないがよく胸やけがする。そんな時は市販の酢を直接飲んでこの問題は解消させていた。しかし市販の安物は刺激が強くて飲むのに大変だ。イタリアから娘がワインビネガーを持ち帰ったのでそれを使ったら全く別物、ソフトで香り良いし、今までの安物とは大違いだった。そして少量ですぐ胸焼けが収まり、その後は非常にすっきりし疲れもとれ、朝の目覚めも明らかに違っていた。と言うことで、私の癖がまたまた頭を持ち上げた。こいつを自分で作ってやろうと思ったのだ。
拙宅にはグアバの木があり、これはまだ植えて4年程だが、小さな実が沢山つくと鳥が来てみんな食ってしまうので網で覆ってのちに収穫した。これに酵母菌を入れて発酵させてある。ブドウは酵母など入れなくても実につているが、グアバはこのままだとたぶん発酵しないと思ったからだ。これは昔ブラジルに暮らしたとき、庭の真ん中に大木があったのでこれで醸造酢を作ったことがあり、そのことを思い出しながら作っている。グアバの方はもう完全な酢になっている(画像右の器)。これをフィルターにかけるのが普通であるが、時間をかけて沈殿させることにした。この方法での上澄み液は下手なフィルターよりよほどきれいだからである。小さじにとって味見した。イタリアのワインビネガーとは全く異なった味だが、甘味があって実にうまく香りよくフルーティーだ。調味料として色んなシーンに使える。とりわけドレッシングなどには最高だ。それにしても果物の醸造酢は本当に美味で市販品は買えない。ブドウの方は少しずつ酸味が出てきた。もう少し追熟させてバルサミックビネガーに挑戦したく思っている。

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