豚の角煮

このところネット通販で直接漁場から魚を仕入れ食べたことなどを書いていたが、たまには脂っこいものが欲しくなり東洋人が集まる食材店で豚バラ肉の塊を1kgほど入手した。中華料理に豚肉は必須、さすが中華食材店が集まる市場には良いものが豊富だ。買ったバラ肉は5㎝角に切り2段にした蒸し器へ並べて火を通す。蒸し鍋はタイ国製の3段アルミ式で、一番下に水を張り2~3段目には丸い穴が開いているのでここから蒸気が入ってくる仕組み、円錐型の蓋は沢山の食材が入っても閉まるようになっている。非常にシンプルだがよく作ってあり、地金が薄いアルミは熱伝導率が良いからすぐ蒸気が出てくる。当地ニュージーランドでは圧倒的にステンレス製の鍋やフライパンなどが多いが、私はこれが大嫌いである。せっかちな気性なのか火をつけても中々温まらない熱伝導率の悪いステンレス製品は家内や娘は別としても私は絶対に使わない。それと同じ理由だが、こちらの家庭ではニクロム線による電気コンロがよく使われておりこれも超嫌いだ。こんなもので料理など作っても碌なものができない。しかもステンレス製の調理器具が相棒となればお話にならないのである。勿論反対意見もあるだろうが、料理は火加減が重要で思う通りの調節ができないとなれば・・・その証拠に、よくある料理番組に出てくるプロらしき本物たちは皆アルミ製の調理器具とガスコンロを使い、ステンレスや電気コンロなどは見たことがない。当たり前と言えば当たり前だろうが、レストランなどの客商売ではオーダーに即対応するために、熱伝導や火力の調整がしやすいレスポンスの良い調理器具でなくてはならないのは当然である。

話は元に戻るが、5㎝角に切り揃えた豚三枚肉は蒸し鍋に整然と並べ、底に米のとぎ汁と生姜を輪切りにしたものを放り込み40分ほど蒸す。米のとぎ汁と生姜は、豚の臭みを見事に消してくれるので必須である。蒸し上がった角切り三枚肉を取り出し、蒸したときに鍋底に溜まった脂はオタマですくい取り、容器へ入れて冷蔵庫で保管すると綺麗な純白ラードがとれる。これは中華料理や炒め物・ラーメンなどに入れると最適だ。蒸し上がった角切り三枚肉は日本酒・黒砂糖・ハチミツ・醤油で、煮汁がとろりとするまで弱火で時間をかけてコトコトと煮込む。このときに使う鍋は、厚手の鉄製鍋に落とし蓋が最も味が染み込んで旨い。豚の角煮は実に簡単な料理であるがすっかり脂分が落ちた肉には独特のコクがあり、熱い白米に冷蔵庫で保存した角煮は日持ちもするので、いつ食べても最高なのである。

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