当地での交通事故

養蜂場のミツバチたちの活性は少しずつ低くくなり、巣箱も保温のために2段目を取り払う。気温低下にともない越冬の準備態勢を整えなければならない。この先は蜜の採取は難しく、ハチたちは花粉の収集に動いている。花粉はアミノ酸からなる生殖細胞で、アミノ酸が連なったものが蛋白質だから、越冬中の食料には欠かせない。また花の少ない時期は天敵の巣虫が増えるので要注意なのだ。

蜂飼いの仕事は本当にいつのシーズンでもやることは一杯あるので、それこそ貧乏暇なしなのである。次回は伸びた雑草の草刈りに来なければならないと現場を後にした。それでも特に問題の或る群れがあったわけではないので安心したが、早めに草刈りをしないと、時折現れるハンターのタバコが枯草に引火したら大変な事になるから、この事は秋が来るといつも気になることである。今日は土曜日なので材木輸送のトラックも少なく、帰路は楽であると思って現場を離れ山道を50キロほど走り舗装された国道に出た。
すぐに車が渋滞し、後ろから少し距離を置いて消防車が対向車道を2台通過していった。その後、近所の農夫風のおやじさんが事故車の処理に1時間ほど掛かると伝えにきた。1時間程度ならしょうがないだろう。近くにすぐ迂回できる道もなさそうなので気楽に待つことにした。30分ほどして、今度はパトカーが処理に4時間は要するので迂廻路を使うようにと指示があった。その警官の表情があまりにも無表情で妙に落ち着いていたので、直感的に死人が出たと悟った。こちらでは事故死があったら現場の記録や撮影に数時間を要するのが普通だ。たった500メートルほど先のカーブで起きた事故だが、30キロはあるだろう迂廻路を使わざるを得なかった。
後で分かったことだが、カーブで小型トラックと乗用車が正面衝突し、乗用車の3人は死にトラックの方は2人がヘリで救急病院に運ばれたが意識不明で重体との事だった。原因は、乗用車にはアメリカからの旅行者が車をレンタルして旅行中だったが、右ハンドル、左側通行、つまり日本と同じ方式の当地の道路に、逆通行のアメリカ人は未熟な上さらに血液から飲酒反応が出たとの事。消防車は潰れて開かないドアを動力鋸で切って車内の人を救出したが、結局3人とも出血多量で息を引き取ったとの報道だった。
私も最初にこちらへ来たときはレンタカーの世話になったが、長く住んでいたブラジルでもアメリカと同じくNZとは逆の交通法規なので、慣れるまでは時間もかかり怖い目にも合った。当分の間 ”右見て左側通行” を言い聞かせながら運転したものだ。この手の交通事故は特に外国人旅行者が非常に多く問題となっている。

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