蜂はハーブが好き
こちらの食材はもともとイギリス系でこれと言って旨いものは何もない。なので食を期待してこちらに来るとがっかりすることになる。以前にも話したが、外国で暮らす際には国によって異なるものの、基本的には楽しみは自分で生み出していかなければ結局は面白くなくなってしまう。楽しみとは他人から与えられるものではなく、己によって生み出すものだと思う。中でも、一日に何度も摂らねばならない食事については重要で、そこにそれぞれの食文化が存在する。
私のところではマンネリ化しがちな料理にアクセントを付ける為、香辛料を利用している。前にも話した唐辛子もそうだが、多種類のハーブを作って利用している。同じ材料を使った料理でもハーブによって様変わりし、新鮮な味わいになる。少なくとも10種類のハーブは一年を通して植えてあるのでいつでも利用できる。この時期は色んなハーブが花や種をつけている。大部分が一年草なので、茎の根元から切り取ってドライフラワーを作る要領で束にして逆さに吊るし、よく乾燥させてから新聞紙の上で木槌で叩いて種を取り出し、来年の播種用として使う。乾燥した葉柄は粉砕機で粉にして空き缶に保存し、香辛料として使うと簡単に料理のアクセント付けができて便利だ。
ミツバチやマルハナバチ、クマバチなどはハーブの花に群がる。とにかく蜂はハ-ブの花が大好きだ。画像はミツバチとクマバチであるが、クマバチは丸々と太って大きく全身に長い毛が生い茂り、大きな羽音を立てて飛び回るので、子供のころは ”クマンバチ” と呼んで「こんなデカイ蜂に刺されたらたまったものではない」と誰しもが思っていた。ところが然に非ずで、この蜂は非常に温和であり敵意がなく手を差し伸べればとまるほどで可憐ささえある。画像の花はオレガーノ(ピザなどに使うハーブ)の花に集まっているものだが、花蜂はとりわけハーブの花を好みいつでも必ず数匹は訪花している。やはりハーブ類の分泌する花蜜やプロポリスを巣に持ち帰ることは意味があるのだろう。ブラジル大陸に住むアフリカ系ミツバチも同じようにハーブや薬草へ訪花する。特にローズマリー系の亜種で、現地ではアレクリンと呼ばれるハーブ由来のプロポリスは活性力が強く有用成分のアルテピリンCが含有されている。ミツバチたちはハーブや薬草の成分が自分たちを守ってくれるという知恵を遺伝的に知っているように思われる。これはマヌカハニーを産生する薬木、マヌカ樹木への訪花も同じことが言える。