巣箱の焼き殺虫・殺菌消毒
2019.06.25
前回は流蜜期が近づくと所帯が増えることから巣箱の増設、そして逆に秋になると巣箱を減らしてゆく作業について少し話した。 寒さがもうすぐやってくるのでその準備である。できるだけ巣箱内のスペースを狭くして住居内の保温に努める事になる。しかし、前記のようにこの時期は非常に気温の高低差が激しく、本格的な冬になるのではと思ったら夏場のような気温となり、なかなかこの作業は一筋ではいかない。全て各群れの勢いを見た上での対処となる。
蜂場から引き払った巣箱は整理番号を確認して倉庫に運び込む。それぞれの巣箱に付着したワックスやプロポリスをハイブツールと呼ばれる養蜂家必須の道具を使って剥がし、下に敷いたシートに貯まったワックスを集めて加温して蜜蝋として保管する。このようにある程度付着物を除去したものをガスバーナーで焦げるまで焼き、殺虫・殺菌消毒をする。大型バーナーの温度は2000℃以上、その火炎は1メートルに達するので天敵の巣虫やダニはイチコロで、同時にウイルス・菌類による疫病から巣箱を清潔に保つことができる。
この作業は新品の巣箱にも施す。巣箱の表面が焦げると、そのカーボンがダニや巣虫など有害虫に付着する事によって忌避(嫌って避けること)作用と同じ効果があることを確認している。またカーボン化した巣箱にはウイルス・菌類の増殖環境でなく、この先の雨季にも湿気によるカビの発生が極めて少ない事も経験上分かっている。
通常、こちらの養蜂家はここまで徹底した管理はしないし聞いたことがない。しかし驚いたことに先日、養蜂用具店に行ったところ既に巣箱を電気炉に入れて焼いた製品が売られはじめ、これは過去にはなかったことだ。店員の話ではこの巣箱はあらゆる害虫や疫病の発生率が少ないなどの説明だった。まさか私の編み出したもののコピーではないかと疑う程であった。でも電気炉でちょっと色が変わる程度に焼いただけではその効果は懐疑的である。私のところの焼いたばかりの巣箱の蜂は全て黒ずんでいてまるで別の品種の様でもあるが、これらの蜂からの病気や害虫の発生は今まで一度もない。やがて黒いハチは元通りになるがカーボンは活性炭のように浄化装置にも使われるので、ミツバチの住居環境には役立つのではないかと確信に至っている。私のところのマヌカハニーの色が濃いのは、このカーボンとはもちろん無関係だ。(笑)