巣箱の段数調整

マヌカ花蜜のシーズンも終わり、マヌカハニーの収穫は平年並みの収量が期待できそうだ。夕方には虫の声が日を追うにしたがって良く聞こえてくるようになった。日本では中秋の名月と言うのだろうか。とりわけ大きな月が顔を出し、月が最も近づくスーパームーンには日照り続きで乾燥した夜空のせいか月光で新聞が読める程だ。
この先の蜂飼いの仕事だが、初春花が咲き始めた巣箱の段重ねと逆で、少しずつ段数を減らしてゆく事になる。気温低下に伴って巣箱内のスペースを減らして行かないとならない。そして最終的には、今まであった4段5段の箱を取り払い単箱にして越冬に備えるのだ。この時期は日によって寒暖の差が激しいので、其々の群れの状態をよく見極めた上で継ぎ足された箱(縦箱)の除去を慎重にやらなければならない。これは巣箱内の保温を要するからだ。群生の弱い群れから縦箱(積みを重ねた巣箱)を取り払う。これは日中はともかく、夜間は急激に気温が降下するのでミツバチにとってはできるだけ生活空間を狭くして保温状態をよくしてやらなければならない。逆に強群の箱はスペースを急に狭めてしまうと過密状態となり、極端な生活環境の変化は健康を損なうことにもなりかねない。越冬時は流蜜期の1群6万匹が1万匹以下となってしまう。女王蜂が産卵を控えるためで、これは蜜源が減少することによる女王蜂の本能だ。
この時期は急に寒くなったり、夏日のようになったりで、特に南方面からの気団が来ると急激に温度が下がってしまう。逆に北からは南太平洋の赤道で発生した気団が来るとウソのように暑くなる。日本では三寒四温と呼び ”冬季に寒い日が3日ほど続くと、そのあと4日ほど温暖な日が続いてはまた寒くなるというように、7日周期で寒暖が繰り返される現象” らしいが、こちらの今の季節はこの真逆である。だから巣箱の段数の調整はその年によって本当に難しい。寒ければ巣箱内の温度が低下しミツバチがエネルギーを失い、免疫力の低下による様々な疾患原因となる。一方、この逆はミツバチの活性が出てきて巣箱内のスぺースが少ないと巣内の温度が上昇し、最悪巣別れのリスクともなってしまう。自然相手の仕事は皆同じだと思うが、常に気まぐれな自然との対話が求められ、敏速、敏感な神経を持っていなけらばならない。このように常に自然の移り変わりを肌で感じ取り、ミツバチとの会話や試行錯誤が良質のマヌカハニーを得る事に繋がる。

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