ポリネーションの弊害
2018.08.07
寒くなってくると庭のミカンが少しずつ色づいてくる。こちらは赤道方面からの海流が流入しているので、日本と比べ温暖で、私の住んでいるところは霜は下りるが雪が降ることはない。山岳地帯にある養蜂場もそうであるが、冬場は霜が良く下りるが雪は今までに降ったことがない。緯度からするとオーストラリアよりずっと低く南極に近くなる。しかし赤道方向に面する最北端地方では熱帯果樹の栽培も行われている。主にスーパーなどに流通しているアボカドは当地産が多い。この他に15年ほど前からオリーブなども盛んに植えつけられたが、人件費の高騰で競争力が無くなり輸入物に太刀打ちできない状態で、オリーブ栽培ファームには Sale の看板をよく見かける。
私の庭にもオリーブ・柑橘類・ブドウ・リンゴ・マカダミアナッツなどを植えている。柑橘ではオレンジ種を台木に、温州ミカンを接ぎ木したものが近年になって沢山採れるようになった。またレモンやライムも立派に実を付けている。特に開花時期にミツバチによって交配されるので結実がよく、リンゴなどは圧倒的に収穫量が多くなる。ニュージーランドと言えば日本ではキウイフルーツが良く知られている。この交配もミツバチに依存するところが大きい。
ミツバチを利用した受粉をポリネーション(Pollination)と呼び、これを業とする養蜂家がいる。これは果物などに限らず、野菜などにも広く利用されている。Pollination を利用すると受粉率が圧倒的に向上し、収穫量に大きく影響するので養蜂家には結構な料金が支払われる。しかしこれはミツバチにとってはとんでもないことで、特に野菜などのハウス栽培に放されるともろに農薬に暴露される。だからPollination はミツバチの犠牲のもとに成り立っているといっても過言ではない。ハウス栽培以外にも、例えばキウイなどの果樹対象であっても農薬との関連性は免れないので、この活動について私は反対である。しかし何事も商売となるとそんなことを言ってはいられないという理屈もあるが、何かの犠牲のもとに成り立っている業の将来性にはやはり無理があるのではないだろうか。マヌカハニーの生産にしても、ミツバチを犠牲にするような生産方法は論外である。