ダニによるミツバチの被害・2

以前、ミツバチにつく天敵の ”ミツバチヘギイタダニ” について少し述べた。ハーブ類を成分とした防虫剤を使っての対処であるが、やはり中にはハーブだけでは効きが悪く薬剤を使ったものがある。旧農務省であったニュージーランド第一次産業省(MPI)は、養蜂には薬剤の使用を極力規制している。ミツバチの幼虫が死んでしまうと最も恐れられるアメリカ蛆腐病についても概略はこのブログで書いたことがある。
この病気は世界中の養蜂家が最も危惧している伝染病である。日本も含め欧米の養蜂では抗生剤・抗生物質が普通に使われているが、ニュージーランドでは抗菌薬の使用が法律によって厳しく禁じられている。これは世界でも数少ない国であるといえる。私はこの政策を大いに支持している。なぜならば抗菌薬の使用は必ずと言っても良いほど薬剤耐性菌が出現し、結局、薬剤VS菌類のいたちごっこになってしまうからである。また、薬剤耐性遺伝子が菌種の壁を超越し、人間の常在菌にまで侵入してくることを考えると非常に深刻な問題となるからでもある。

この事については以前にもブログで書いたが、こうして薬剤を使用した養蜂は最終的にはハチミツなどを通して人体に取り入れられてしまう。この蜜蜂の感染症は抗菌薬を使えば一時的には解決できるが、だからといって薬剤に頼るわけにはいかないと思う。またニュージーランド養蜂は、薬剤不使用という事が大きなセールスポイントとなり他国産の蜂産品とは差別化が可能となる。ひいては輸出競争力に一役買っていることにもなり、当国政府のやっていることは非常に賢明な事であるといえる。

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