キューイとマウリ族による養蜂の違い

ニュージーランドでの商業養蜂は大きく分けて2つの考え方がある。所謂(いわゆる)キューイと呼ばれるイギリスから移民してきた白人系と、先住民族のマウリ族系に分かれるが、両者には根本的に考え方の相違があるように思う。キューイはイエスキリストを信じる一神教徒であるが、他方のマウリ系は(日本の神道に似た)自然界に多く存在すると信じる多くの神々のもとに生きている。キューイの養蜂はある意味で非常に合理的?でもある。
例えばキューイの場合、流蜜シーズンが終わりミツバチが花蜜を運ばなくなってくると弱い群れは捨ててしまい、強群のみを選んで越冬させて来季に備える。要するに使い捨てである。一方のマウリ族は決してこうした方法を取らない。どんなに弱い群れでもしっかりと餌を与えて何とか来シーズンまでに強群となるように尽力する。これは狩猟民族と農耕民族の違いだと言ってしまえばそれまでかもしれないが、マウリ族の考え方として、自然界の多くの神々の下ではキューイの様な一神教的な考え方ができないのである。マウリ族はタヒチ方面から当地にやって来て、そのルーツは台湾であることが近年のDNA解析で分かった。だから考え方が非常に日本的なところがあるように感じる。養蜂については、自然界の神々を恐れミツバチと共存していくという考え方なのである。これは使い捨て的な養蜂を得意とするキューイとは大きく違う。

以前このブログ(2017年9月25日)にも書いたように、日本は国土の70%以上が自然林からなりこれは世界でもそうない。当地ニュージーランドの山林の大方は牧場になってしまい、羊や牛飼いを目的にイギリスから入植した移民によって破壊されたのである。ブログ(2018年3月20日)で南米アマゾンでの略奪農法について触れたことがあったが、こうした使い捨て的な養蜂は基本的には略奪農法と共通するのではないかと思う。
近年になって当地ニュージーランド産のマヌカハニーが世界的に知られてきている。生産はできるだけ効率的で収量重視の養蜂が行われているが、それに品質がともなっているかは疑問とするところである。

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