自家製納豆の作り方
2017.12.14
昨日の自家製納豆の作り方であるが、極めて簡単である。しかしここに至るまでには色んな試行錯誤があった。30年以上前の話だが、ブラジルに住んでいた当時、現地では日本食材は日系社会に行かないと入手が難しかった。納豆は入手しても、現地の日系社会で作っているものだから味には非常にムラがあった。日系社会とはあまり縁がなかったので、わざわざそれを買いに行くのもおっくうであったし、ならば自作してみようと思いついたのである。
まず大豆を入手してゆっくり柔らかくなるまで蒸し上げる。指で簡単に潰れるくらいでよい。蒸し上がった大豆の中に間髪入れずに市販納豆を入れ、手早く全体が混ざるようにする。それを使い捨ての小型の紙コップに半分程入れて、コップのふちを合わせホッチキスで止める。この作業はできるだけ手早く行い、後はそれを新聞紙で何重にも包み、最後は毛布にくるんで発酵を促す。発酵熱で包み全体がかなり熱くなる。常温で24時間経つと、立派な糸引き納豆に変身する。
こうして話してしまえば簡単な事だが、初めは如何にうまく発酵させるか加減が分からず、インターネットもない時代だったので自分で実験する以外に方法が無かった。それらの失敗談を話すとキリがないので控える。一番のキーポイントは、納豆菌は高熱で覚醒するという事なのだ。この事が分からなかった為、随分と無駄をしてしまった。
100℃近くで蒸し上がったばかりの大豆に菌を投入したら当然菌は死んでしまう。適当な温度に下げた後でなければと考えたことが原因で様々な失敗作の連続となった。後に納豆工場で作る現場を撮影したTVを見たが、蒸した(茹でた?)熱い大豆にスプレーで納豆菌をまいていくシーンがあった。そして保温材の発泡スチロール容器に大豆を入れて出荷し、店頭に並ぶ頃には製品となっている。または工場で多少の時間を発酵に費やしているのかもしれない。勿論、納豆になったものを小分けなどできるものではない。
そしてもう一つ重要な事は、植菌後24時間(これは作る人の好みによる)で出来るが放っておくとどんどん発酵が進み、それに従ってアンモニア臭などが出てくるので、適当な時に冷蔵庫に入れて菌の活動を抑える必要がある。冷蔵庫内の保存では1ヶ月程度は美味しく戴ける。
種菌の量だが、多ければ多いほど早く発酵する。私はいつも乾燥大豆1㎏につき市販の納豆を4個入れているが、1個でも(時間はかかるが)出来ないことはない。また自作したものを種として利用し作れない事もないが、せいぜい2、3代までで、次第に雑菌の繁殖があるので、香りも含め旨くなくなってくる。
画像はトレイの中で乾燥大豆3kgを一度に作ったものを、干物作り用の籠に入れて天日干ししている風景だ。干し納豆は味が濃縮して実に旨く、天然製品の為か飽きることなく、健康にも良いのでスナックには最適である。