ブラジル産プロポリス原料の真実 ep09. 日本のプロポリス専門家

次に日本のことですが、専門家と称する業者の雑誌投稿記事や、それを真に受けた国内の一部の医師や出版社が書いた単行本などでよく見かけることに、ブラジル産プロポリスが強力な殺菌力を持つ理由として“産地が温帯~熱帯地域のジャングルに属し、有害菌の繁殖が盛んな劣悪な環境にあるため、みつばちはおのずと殺菌力の強いプロポリスを作る”などといった、現地を知らない人にとっては一見なるほどと納得してしまうようなことが書いてあります(もっともこのようなことを言い出した人もブラジルという国を全く理解せず想像の域内での意見かもしれませんが)。そして実際このようなことが定説のように思われてしまっていますが、これは大変な誤りであり、現地に住んでいる者がこの話を耳にしたなら誰でも“劣悪な環境”にはあきれるどころか立腹してしまいます。もしブラジルの原塊産地の自然環境が“劣悪”であるとするならば日本の、いや世界中の環境は一体どうなのるでしょう。

ブラジルから日本向けに出荷されるプロポリス原塊の産地は、大部分がブラジル中部高原地帯産のものです。これらの地域は人口密度が低く、平均海抜約800mで年間を通じ乾燥しており、現地では最も良い高原気候とその風土に恵まれた所に位置しています。この気候風土を一度でも味わったことがある者なら誰でもが住んでみたくなるほどの健康地ですし、冒頭記しましたアマゾン河水系のジャングル地帯とプロポリス生産は全くの無関係です。 また、今日、アマゾン地域以外は開発が進み、原生林つまりジャングル地帯などは皆無で、ましてやプロポリス生産地とジャングルは無縁です。こうしたことは、誤った単なる憶測からブラジル産プロポリスを自己の営業に都合よく論じている例か、無知の何者でもありません。ブラジル⇒アマゾン⇒ジャングル⇒未開地⇒劣悪環境⇒良質プロポリス これではまるで“風が吹けば桶屋が儲かる”といったいかにも日本的な小スケールでこの国を論じているようなもので困まったものです。またブラジル産原塊で生産した商品を扱う業者の宣伝として、プロポリス原塊は年間1群(1巣箱)あたり30gから50gしか生産されないとも説明されていますが、これはヨーロッパ種みつばちの集めるブラジル以外の原塊収穫量ならいざ知らずですが、ミナスジェライス州では平均1群150gの採取が通常で、私どもの買い付け地域では300gを越すところも珍しくありません。これも業者のオーバートークか知識不足からくる誤情報の認識としか考えられません。このようなことも指摘すれば限りがありませんし、こうした無責任な言動は特に現地の知識を得る機会に欠ける消費者へ容易に受け入れられてしまい、いわゆる百害あって一利なしで私どもにとってあまりにも現実と異なる言動を公言する心境が理解できません。開いた口が塞がらないとはまさにこのことだと認識せざるを得ません。少なくともプロである以上はもう少し勉強してもらいたいものだと思います。そして、恐ろしいのはそうした自己商品の優位性を示唆せんがための作為的な誤った着色や認識不足がやがて一人歩きをし、それがプロポリスに対する一般的な考え方となり定着してしまうことです。

ここで言えることは、ブラジルのみつばちはその母体がアフリカ種の熱帯性の蜂であるため、熱帯地方は昆虫をはじめ小動物の活動が年間を通し活発で巣箱内への侵入が温帯より多く、こうした外敵に対する意味からも遺伝的にプロポリスを多く運んでくる性質があるということでしょう。これは、ブラジル産原塊の持つ“強い殺菌力”とは別途の問題です。それはアフリカ蜂化みつばちによるユーカリ樹液からの生産物、あるいは中部高原に広く分布する多種の薬草やハーブ類から由来するという見方もありますが、どれもこじつけ的で定かではありません。それにブラジル産が他国産と比べ特に強力な殺菌力を持つということを一体誰がどのように証明したのでしょうか? これも非常に曖昧なことだと思います。ちなみにブラジル産でハーブのローズマリーの一種でアレクリン(Baccharis dracunculifolia)の成分が含まれる原塊からのプロポリス抽出液にはアルテピリンCなど桂皮酸誘導体が含有され、肥満やメタボリックシンドロームなどの改善効果が期待できるとして注目されています。ただ、アルテピリンCは合成生物学による酵素利用でアミノ酸から安価に合成が可能であり添加材として利用される問題があります。しかしながら、ブラジル産プロポリスが香り・味・色調など他国産のヨーロッパ種みつばちがもたらす原塊には決して見られない独特な特性を持ち備えていることは確かです。