ブラジル産プロポリス原料の真実 ep03. アフリカ蜂

ここで原料について少しご案内する前に、プロポリス原塊を作り出すみつばちについて概略のご説明をさせていただきます。ブラジルのプロポリス原塊の生産は、他国の全てのヨーロッパ種みつばちとは異なり、アフリカナイズドビーつまりアフリカ蜂化されたヨーロッパ種みつばちによってもたらされます。この蜂は非常に特異性を有し、働き蜂の行動パターンが蜜源に対して直線的に飛行をすることから、ヨーロッパ種と比べ4倍以上の飛行距離をもち、一群中のプロポリスのみ専門に採取する蜂の数はヨーロッパ種より3~4倍も多く、ヨーロッパ種の一群当たり年間生産量約50gに対し弊社の買い付け地域で150gから最高300gが生産されています。さて、このアフリカナイズドビーについてですが、いかにもブラジル的ないきさつがあり、このことは日本の業界でもあまり知られていないと思います。

それは1956年~1957年にかけ、サンパウロ州立大学の、ある教官がアフリカ種のみつばちが非常に精力的に採蜜し、かつ剛健であることに興味を抱き、現地のヨーロッパ系みつばちとの交配を目的にアフリカ種みつばちを輸入したことから始まります。ところが、いかにもブラジル国を象徴するような事件が起こりました。その輸入された改良中のアフリカ蜂が、単純な管理のずさんさが原因で研究室より逃げ出してしまい、きわめて凶暴な性格を持ったこの種のみつばちはサンパウロ州よりその凶暴性を発揮、牛馬など家畜にとどまらず数十人の死者が続出、瞬く間にヨーロッパ系みつばちとの同化によってブラジル全域を制覇、その結果あまりにも凶暴なため養蜂のプロでもなす術がなく、廃業を余儀なくされました。それまでは、はちみつの一大生産国だったが輸入国に転じてしまったいきさつがあります。現在この種は南米全域はおろか中米そしてメキシコを制覇、北上を続け現在北米大陸に侵入中です。北米では殺人蜂として大変恐れられていますが、年月が経つにつれ雑婚を繰り返す間にその凶暴性も当初よりかなり衰えています。

そしてブラジルの養蜂家はこの種の蜂の取り扱いにも慣れ、はちみつ生産も再開され、現在では以前と変わりなく生産が行われています。しかし、この種の蜂に対する取り扱い方法は以前のヨーロッパ種の飼育とは大いに異なり、通常の5倍以上もある超大型な薫煙器(蜂の活性を抑える煙発生器)・倍以上の厚手の面布・手袋などかなりの重装備で作業に挑む必要があります。これらの蜂は各地方によって凶暴性の強弱の格差が大きく、取り扱いにくい種ほど生産量は多く、病気に強く剛健ですが、管理上この上なく大変です。一例をあげれば、作業を終え蜂場近くにとめた作業車に乗り込んでも、車内が蜂で一杯になるほど執拗に追いかけ攻撃してきます。もちろん面布など作業着(防御服)のまま運転し数百メートル移動した後、車内の蜂を追い払い、そのまま再度移動した地点で初めて作業着を脱ぐことができるといったように、現在に至っても通常の温和なヨーロッパ種からは想像できないほどの凶暴性があります。これはアフリカ系のみつばちは敵に対する攻撃によって分泌される蜂毒量はヨーロッパ種みつばちより多く、また、同時に毒針部位から攻撃フェロモンを多量に発散させ広範囲に仲間を集め、興奮させ集団で襲ってくるパワーがヨーロッパ種に比べ非常に強力であることによります。

1989年10月ブラジル、リオデジャネイロ市で開催された第32回国際養蜂会議の席上ブラジル側代表が、当時のアフリカ蜂化みつばちについての状況報告に触れ、あたかも品種改良を施した結果、現存する生産性が高く独特なプロポリスを産する品種が生まれたごとく発表しています。これは自己の非を認めようとしないラテン系民族の特徴を端的に表している良い例ですが、その裏には多くの犠牲と損失が存在します。そして、その責任の所在についても全く明確にはされないまま現在に至っています。こうしてブラジル国の養蜂は他国にない経緯をたどりつつ今日に至っていて、そこで生産されるプロポリス原塊は、アフリカ蜂化ヨーロッパ種みつばちがもたらした特異性とブラジル大陸の自然環境下でヨーロッパ種みつばちに無い独特な原塊が生まれます。