次世代へ伝えたいこと(ブログ最終回)

少し前、指揮者で世界的に有名な小澤征爾が孫についてこんなことを言っていたのが印象に残っている。「最近涙もろくなって孫を見ると泣けてくる。これが人生なんだなと思う。」彼の気性からはとても感じ取れない意外な言葉で、なるほどあの小澤も年を取ったなと率直に感じた。別に彼について詳しく知るわけでもなく、ただ海外に長く暮らし音楽の修業に徹した仁と言うことぐらいしか知らない。だが彼の話にはなぜか一言一言にピンとくるものがあったのでよく覚えている。私より9歳年上のようだし最近は特に老けた感じ、色んな病気もされたという。私も長く海外生活をやってきて小澤征爾のような功績も名もないが、異郷の地で男一匹、懸命に生きてきたことに変わりはない。思い返せばそれこそ色んな事が有りすぎるほどあった。だが今は一瞬の出来事のように思うし、大したことをやっていないじゃないかと自己嫌悪に陥る。でも好き勝手に生きてこられたことには感謝そのものだ。
息子夫婦が少し前に2人の孫を連れてNZに来た。2人は本当に可愛いらしく、初めて見る8カ月の女の子はとりわけ愛らしかった。孫の相手をしていると小澤征爾の言葉を思い出す。この可愛い孫たちの人生がスタートした。この先色んな事に出くわして荒波を渡ってゆくのだと思うと、とめどもなく涙があふれていることに気がついた。これが小澤が感じた人生なのだと・・・。私は小澤よりもずっと若いのに耄碌(もうろく)したものだと猛省しつつ、誰にも頼れない海外で生きてゆくことは実に厳しいものがある。小澤もそれが言いたかったのだろう。孫たちには決してこうした苦労をさせたくない。しかし一方で、苦労しなければ人間としての味が出てこない。

拙宅の庭にある狂い咲きの藤の花にミツバチが群がり日照りが続く。また水汲みをして蜂場まで運ばねばと現実に戻った。昨日は久しぶりにTCNの社長と長く話した。最後に「一体この会社の最終目標とは何だ」と問いかけた。それは抗生物資との戦いだ、と即答してきたのには嬉しかった。薬剤の乱用によって耐性菌や耐性ウイルスは今や当たり前に存在するどころか、菌種の壁を越えてヒトの常在菌叢まで侵入しつつある。薬の乱用は避け、マヌカハニーやプロポリスをはじめとする蜂産品をヒトの健康への守り刀として世に周知してもらいたい。それは勿論、孫たち以降の世代の為にもだ。これからも良品の生産に日々奮闘して行く思いが強い。 

2年半以上続いたこのブログは、これにて一旦区切りたいと思います。長い間ご愛読いただきましたことに深く感謝を申し上げます。まだまだ当地のマヌカハニー生産について、書き足らないことが山ほどあります。しかしながら諸々の関連上、真実を書き留めるということは本当に難しい事だと感じています。今後こうした環境が整うように努力し、その時には思い切りご報告をさせてもらう所存でおりますので、是非このサイトに時折訪れていただければ幸甚です。
第一次産品の生産には様々な条件が必要となります。過去に得た実体験を基に今後も生かしたく、また同時に、後続するスッタッフや仲間にも余すことなく伝え、薬剤に頼ることのない生活を目指すため、一層の良品生産とご提供に尽力してゆきますので、これからもご指導・ご鞭撻いただきますよう(株)TCNをよろしくお願い申し上げます。

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